大雨特別警報の新しい指標~狭い範囲に降る大雨にも
発表条件に少し届かなかったために
2013年に運用開始された特別警報。
今年の7月に大雨特別警報の発表指標
判断の目安ですね
その指標についてマイナーチェンジを行いました。
大雨による災害というのは
長い時間かけて広い範囲に
たくさんの雨が降るパターンと
短い時間に狭い範囲に猛烈な雨が降る
集中豪雨のパターンがあります。
後者の「短い時間に狭い範囲に降った雨で
大きな災害になった」事例としては
福岡県の朝倉市などで河川の氾濫や土砂災害が多発した
平成29年7月九州北部豪雨
広島市で土石流が多発した平成26年の豪雨
伊豆大島で大規模な土砂災害が発生した
平成25年の豪雨などがあります。
このうち、広島市や伊豆大島の豪雨では
甚大な被害が発生したにもかかわらず
発表条件に少しだけ届かなかったために
大雨特別警報は発表されなかったんですね。
(平成26年豪雨 広島市土砂災害被害状況
内閣府ホームページより)
大雨特別警報が出る時は
大雨特別警報ってどんなときに出るかっていいますと
一言でいうと「その地域にとって
50年に一度あるかないかという大雨」のとき。
ただ、そのような大雨が
ある程度広い範囲に降っているときに発表する
という条件が付いています。
だから、伊豆大島のような
狭い範囲に大雨が降ったときには
特別警報が発表されなかったというわけです。
そこで発表条件の一部を見直して令和元年11月から
伊豆大島にだけ適用することにしました。
(気象庁ホームページより)
今回は、そのやり方を少し改善して
全国に展開したのです。
基準の決め方
具体的には「50年に一度の雨量」という
確率的なものではなく
過去に実際に大規模な土砂災害が発生したときの
土壌雨量指数を参考にした基準値にしたのです。
土壌雨量指数というのは
地面の中にたまっている水分量を表すもので
土砂災害発生の目安になるもの。
基準値の決め方ですが、まず地域を
1km四方のマス目で区切ります。
その一つのマス目を格子と呼びます。
その格子ごとに
過去に大きな被害が発生したときの
土壌雨量指数の値を参考に基準値を決めます。
(気象庁ホームページより)
そして土壌雨量指数が
その基準値を超える状況となった格子が
概ね10個以上まとまってあらわれると予想され
さらに、激しい雨が降り続く場合に
大雨特別警報を発表することにしました。
狭い範囲でも発表されるように
1km四方の格子が10個といいますと
神奈川県では二宮町の面積より少しだけ広いくらい。
つまり、それくらいの狭い範囲での集中豪雨でも
大雨特別警報が出せるようになったということなんです。
(平成25年豪雨 伊豆大島被災状況
国土交通省関東地方整備局ホームページより)
これまで、大雨特別警報って
広い範囲にでるというイメージがったかもしれませんが
これからは、狭い範囲であっても
とんでもない雨が降れば
その市町村にだけ発表ということもあるわけです。
いずれにしても、大雨特別警報が出た時は
すでに災害が発生している可能性が高いので
そうなる前の早めの避難が大切なことには
変わりありません。