紅葉・黄葉について~赤や黄色に見えるわけ

カエデやイチョウの”こうよう”も観測対象

以前、気象庁には「生物季節観測」という

お仕事があるというお話をしました。

 

生物季節観測というのは、植物や動物の状態から

季節の遅れ進みや気候の変化などを

総合的に知るために行っているもので

一番有名なのは桜の開花ですね。

 

気象台では、秋には、

カエデやイチョウの「こうよう」についても

生物季節観測として記録をとっています。

標本木と呼ばれる観察の対象となる木の

全体を眺めたときに、大部分の葉の色が

紅色や黄色に変わった状態になった最初の日を

「こうようした日」として記録しています。

 

カエデの場合の「こうよう」は「べにのは」と書く紅葉で

イチョウの場合は「きいろのは」と書く黄葉を使います。

だって、カエデは赤く色づき

イチョウの葉っぱは黄色くなりますものね。

色が変わるメカニズム

そもそもなぜカエデやイチョウは

秋になると葉っぱの色が変わるのでしょう。

夏の間、葉の色が緑なのは

緑色の色素クロロフィルのためなのです。

 

この色素のおかげで光合成ができるのですね。

 

夏が終わり太陽の日差しが弱くなってくると

緑色のクロロフィルに変わって

赤く見えるアントシアニンという色素が作られて

赤色の葉っぱになります。

これがカエデの紅葉ですね。

 

一方、イチョウの葉っぱには

緑の色素といっしょにカロチノイドという

黄色の色素が含まれているのですが、

秋になると緑の色素が減っていき

黄色のカロチノイドが残るため

黄色く見えるというわけです。

 

これらの仕組みは

まだよくわかっていないこともあるそうですが

私はともかく

青い空と赤や黄色の葉っぱとのコントラストが好きですね。

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紅葉・黄葉前線南下中

カエデやイチョウの紅葉・黄葉は季節が進むにつれて

北から南へ、標高の高いところから麓の方へとやってきます。

 

気象庁の生物季節観測の記録を調べてみますと

カエデの紅葉は例年、10月中旬北海道地方から始まり

11月終わり頃には関東地方から西日本にかけて一気に南下。

そして12月上旬から中旬にかけて関東地方から東海地方の太平洋側、

近畿地方、九州地方南部の地域に到達します。

(気象庁ホームページより)

イチョウの黄葉もだいたい同じような感じです。

(気象庁ホームページより)

 

ただ、年によって紅葉・黄葉の観測日は大きく異なります。

横浜のカエデの紅葉の記録を見ると、

これまでで一番早かったのは11月1日(1963年)

一番遅かったのは12月30日(1990年)で

なんと2か月近くも開きがあるんですね。

 

イチョウの黄葉についても2か月近くの違いがあります。

やはり紅葉を見に行く計画を立てるときは、

今年の状況をテレビやインターネットなどで情報収集して

決めた方が良いですね。

 

少し残念 今年の”こうよう”

横須賀でもそろそろ“こうよう“が始まってきました。

 

でも、みなさんも葉の色が

少しおかしいと思いませんでしたか?

やはり、9月と10月にやってきた

二つの台風による塩害の影響がでてしまっているようで

茶色く枯れたようになってしまっている木がありました。

 

でも、これも、自然の出来事の一部。

 

赤や黄色に色づいた葉も

今年は枯れてしまった葉も

愛おしく眺めたいと思います。

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