ラジオゾンデについて~観測用気球を必死に飛ばすのにはワケがある
え?爆発物??
9月13日にこのようなニュースが流れました。
これ、気象観測用のラジオゾンデと呼ばれるものです。
気象庁ではラジオゾンデと呼ばれるものをゴム気球に吊るして飛ばし
地上から高度約30kmまでの
大気の状態(気圧、気温、湿度、風向・風速等)を観測しています。
90分ほどで観測を終えたラジオゾンデは、
パラシュートでゆっくり落ちていきます。
日本では全国16か所と
南極昭和基地でラジオゾンデを飛ばしています。
日本は海に囲まれていて
上空は西風が吹いているので
日本で飛ばしたラジオゾンデは、
たいてい海に落ちると言われています。
ちなみに、観測機器をを収納している
発泡スチロール製の箱の表面には
「危険物ではありません。
拾った方はこちらに連絡してください。」って
担当官署の連絡先が書いてあります。
(福岡管区気象台ホームページより)
今回はそれが読めなかったのか
外国から飛んできたものなのか
わかりませんが、
爆発物処理班が出動して
安全な場所で爆破処理されたそうです。
地道に飛ばし続けるワケ
実はこのラジオゾンデを飛ばす観測は
毎日2回、日本時間で朝9時と夜9時に
世界中で同時に行なわれています。
今は気象レーダーや様々な観測機器
気象衛星などで大気の状態を観測できますが
これらはみな、直接ではなく
電波などのはね返り具合などから
間接的に観測しています。
それに対し、ラジオゾンデでの観測では
上空の大気の状態を直接観測できるという点で
とっても貴重なデータを得ることができるというわけです。
命がけ?南極での放球
気球を膨らまし、風に載せて気球を挙げる作業は
とっても大変ですから
自動でラジオゾンデを挙げる装置を使っているところもあります。
ところが南極昭和基地では
人の手で挙げているのです。
南極地域観測隊員だった方に
「あんな寒いところで気球挙げるの大変でしょうから
自動の装置使えばいいじゃないですか!」って言ったら
「あんな極寒の地で、ちゃんと動く自動装置
あると思いますか?」と言われてしまいました。
確かにその通り。
そういうわけで、ブリザードがすさまじかったりして
いのちに危険が及ぶようなとき以外は
毎日2回、隊員さんがラジオゾンデを挙げているそうです。
ほんとに、頭が下がりますよね。
世界中の約800か所で行なわれているこのラジオゾンデの観測。
この観測で得られたデータが
お天気の予測や気候予測の精度を支えているのです。
観測に関わっている方々に
本当にありがとうございます!と言いたいです。
一度、私も挙げてみたいですけどね。
(以上、キャプションのない写真は全て
気象庁ホームページより)