収束線に沿ってできる冬の雲~”忍者雲” ”ならいの土手”のメカニズム

泣かされることも

冬型の気圧配置のときは、日本海側では雪が降り

太平洋側は乾燥した晴れの天気となるというのが

一般的な天気のパターンですね。

ところが、関東地方から東海地方の太平洋側では

そんな時でも、局地的に曇ったり

弱い雨や雪が降ることがあります。

 

天気予報が難しいパターンとして

気象予報士泣かせの現象と言われることも。

発生のメカニズム

影響しているのは中部山岳🏔

 

冬型の気圧配置の時には大陸の方

つまり日本から見て西に高気圧があって

日本の東海上に低気圧があるということで

西高東低の気圧配置と呼ばれますね。

 

このようなときは大陸から

冷たい北西の風が日本列島に吹いてきます。

 

この風が中部山岳にぶつかるときに

標高の低い若狭湾から東海地方を通って

太平洋に吹き抜ける風と

関東平野から太平洋に吹き抜ける風に

分かれることがあります。

 

東海地方経由の風は西風

関東平野経由の風は東または北東の風となって

ちょうど伊豆半島の沖あたりでぶつかるのです。

 

向きが違う風が線状にぶつかりあうところを

気象用語では「収束線」と呼びます。

 

ぶつかり合った風は、そこで上昇気流を発生させるので

収束線に沿うように雲が列をなして発生する

というわけなんです。

(地理院地図に加筆)

(気象庁 アメダス 風向・風速データに加筆)

気象衛星画像を見ると、一目瞭然

(2021年11月27日14時 気象庁トゥルーカラー再現画像に加筆)

伊豆大島や新島あたりで発生することが多いですが

その時の風向きや風の強さなどによって

千葉県沖だったり、遠州灘沖に発生します。

 

収束線に沿って発生した雲が

陸地にかかることもありますし

雲が西や東に移動することも。

 

だから天気図だけを見て

「今日は冬型の気圧配置だから太平洋側は晴れね」

と思っていると、曇ってきたり

小雨になってしまうということもあるわけです。

(2021年11月27日12時 天気図

気象庁ホームページより)

(2021年11月27日14時 気象庁雨雲の動き)

収束線付近では、風の向きが急に変わったり

波が高くなったりしますので

小型の船にも油断ならない現象でもあります。

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忍び寄る雲 土手のような雲

このような雲の仕組みが

よくわかっていなかった昔は

どこからか忍び寄る不思議な雲という意味で

「忍者雲」と呼んでいたこともあるそうです。

 

また、地方によってはこの雲を

「ならいの土手」と呼ぶこともあります。

 

「ならい」とは、北西の季節風のこと

 

収束線に沿ってできる雲の列が

土手のように見えることから

このように呼ぶようです。

 

気象衛星画像をみて

このような雲が現れている時に海岸に行くと

「ならいの土手」が見られるかもしれませんね。

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