線状降水帯について~豪雨の原因はこれだけじゃない
線状降水帯ができる仕組み
近頃、大雨災害が起きますとニュースなどで
「今回の大雨の原因は線状降水帯でした」
というような解説をよく見聞きするようになりました。
「線状降水帯」
気象庁の定義では
「次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなした
組織化した積乱雲群によって
数時間にわたってほぼ同じ場所を
通過または停滞することで作り出される、線状に伸びる
長さ50~300km程度、幅20~50km程度の
強い降水をともなう雨域。」となっています。
・・・ちょっと難しいですね。
今の定義に出てきた積乱雲。いわゆる雷雲ですが
一般的な積乱雲は、発生してからだいたい
30分から1時間くらいで衰えていきます。
でも、積乱雲のエネルギー源である
水蒸気の大気の下の方への流れ込みが
途切れないような仕組みがあると
積乱雲が衰えなかったり次々と発生。
長い時間、大雨を降らせることになってしまうんです。
(2017年8月23日 JAMSTEC
【コラム】頻発する梅雨末期の豪雨は
地球温暖化によるものなのか?より)
あたたかく湿った空気の流れ込みが続き
さらに発生した積乱雲を移動させる上空の風
といった気象条件がそろってしまうと
同じ場所で次々と積乱雲が発生しては移動していって
ということが繰り返されて
結果として積乱雲が列をなし
線状降水帯ができてしまうのです。
正確な予測は難しい
線状降水帯の下では
1時間に80ミリ以上の猛烈な雨が数時間降り続き
集中豪雨となって大きな災害に
つながる危険性が高くなります。
(令和2年7月31日 気象庁
「令和2年7月豪雨」の特徴と関連する大気の流れについて(速報)より )
このような線状降水帯は
「今日はこの地方のどこかで発生するかも」
くらいは予測できても
場所や時間を正確に予測するのは難しいんですね。
そこで、強い雨が降ってきたり
雷が鳴ってきたというようなときには
気象庁の「高解像度降水ナウキャスト」のようなサイトで
雨雲の動きを確認するようにしてください。
動画再生するといいです。
非常に激しい雨を降らせる雨雲が
一本の線のようになっていて
しかも、それが同じ場所にかかり続けていたら
線状降水帯が発生しているのかもしれません。
線状降水帯じゃなくても
でも、こわいのは線状降水帯だけではありません。
日本で発生した豪雨のうち
台風によるものを除くと
残りの約6割は線状降水帯が原因だったとされています。
(気象庁ホームページより)
けれど、逆に言えば4割は線状降水帯以外の要因で
発生しているんですよね。
つまり、線状になっていなくても
非常に激しい雨を降らせる雲が
同じ場所にかかり続けていたら
災害のおそれがあるということです。
線状降水帯だけが怖いのではないということ
覚えておいてくださいね。