気象観測の自動化~やめてしまう項目も

人が目で見ていたんです

先日、「気象台に行ってみませんか」というお話をしました。


横浜地方気象台を例に

気象台のお仕事についてご紹介しましたが

その気象台での気象観測の方法が、

2月1日から大きく変わったんですね。


何がどう変わったのかの前に、

1月まで行われていた気象観測のお話をします。


気象台では、気圧、気温、風、降水量などを

24時間365日連続して観測していますが、

これらは機械で自動で測っています。

(横浜地方気象台 気象観測機器)

 

それ以外に、毎日、決められた時刻に、

晴れや曇りなどの天気、雲の量や種類、見通せる距離などを、

気象台職員の方が目で見て観測していたんですね。

 

横浜地方気象台では、午前3時、9時、午後3時、夜の9時の1日4回、

職員の方が屋上に上がってこれらの観測を行っていました。

 

晴れと曇り 境界線は?

例えば、晴れや曇りなどの天気は

どのように判断するのかというと、雲の量で決まります。


空全体を見渡した時に、

雲の量が1割以下の場合は快晴、

2割以上8割以下の場合は晴れとなります。

(広島市江波山気象館ホームページより)

 

雲の量が9割以上の場合は曇りなのですが、

その雲が空の高いところにできる薄い雲の場合は、薄曇となります。

 

雲の量が8割でも晴れとなるわけですから、

けっこう雲が出ていても晴れで、

この辺は皆さんの感覚とちょっと違っているのかな、と思います。

(雲量8 広島市江波山気象館ホームページより)

 

 

見通せる距離も目で見てました

また、見通せる距離は、

「あの建物まで見えたら何キロ」というような目標物を

あらかじめいくつも決めておいて、

それに照らしながら、その日の見通せる距離を判断します。

(「気象業務はいま2015」より 航空気象台での目視観測の様子)


ごく小さな水滴が空気中にたくさん漂っていて

1キロ先の目標物が見えなければ、「霧」となるわけです。


このほかにも、雷、雪、みぞれ、ひょう、黄砂などの現象も、

職員の方が外を気にしながら24時間体制で観測していました。

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自動化できるわけ

このように、1月までの気象台の観測は、

機械が自動で行うものと人が目で見て行うものの

両方があったのですが、

2月1日からは、横浜地方気象台を含む

関東甲信地方の8つの気象台で、

基本的に機械での自動観測に切り替わったのです。


晴れや曇りなどの天気は、

気象衛星ひまわりによる雲の観測と、

昼間は日照計という

太陽の日が射しているかどうかを計る機械のデータとを組み合わせて、

晴れか曇りを判断します。

(日照計 長野地方気象台ホームページより)


決まった時刻に

人が目で見て観測するのをやめてしまうだけで、

天気予報や気象警報・注意報などのための観測は、

今後も続けるとのこと。

 

まあ、防災情報の発表に対しては

影響はないとのことですが、

実は、自動観測になったことで、

やめてしまった観測もあるんです。


例えば、さきほどお話した

快晴と薄曇は自動観測では分からないのです。


また、ひょう、あられ、黄砂、虹などの

観測もできなくなりました。

 

今まで続いてきた観測データが

途切れてしまうことはとても残念です。



でも、季節の便りとして気になる

初霜や初氷、桜の開花などは

引き続き気象台の職員の方が

観測してくださるそうで、少しほっとしました。

 

観測の自動化は

時代の流れとして仕方ないのかもしれませんが、

自分の目で空を見つめたり、風を感じること、

私は大切にしていきたいですし、

みなさんにもお勧めしていきたいです。

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